法人で開業するとき必要な準備と手続きを簡単解説!
サラリーマンや役所にお勤めの方で、正式な法人(株式会社)で独立開業を目指している方は多いのではないでしょうか。
しかし、開業するとしいことは、今まで仕事を与えられていたものを、すべて自分で判断して行動を起こしていかなければならなくなります。
そこで、開業準備の手続きをしっかりしておかないと、事業が軌道に乗るまでの期間にトラブルが発生するケースは多々あるものです。
とはいっても、開業は初めてという方が大多数であり、「法人の開業準備で何をしたらいいのか分からない」と、困惑してしまいがち。
ということで今回は、法人として開業いるときに必要な準備と手続きの流れなど簡単に解説いたします。
目次
1、法人で開業するときに必要な準備とは?
法人として会社を設立するにあたっては、事前に様々な準備が必要。ここでは、特に忘れてはならない要素をピックアップしてご説明いたします。
会社名(商号)を決める
まずは、自分が設立する会社名(商号)を決めなければ話は進みません。
会社名の決定は創業者に与えられた特権であるとともに、これから先ずっとその名前で事業を行っていくことを考えると、一番頭を悩ませる重要なポイントですよね。
そこで、その会社名を決めるとき以下の5つルールがあることは認識しておく必要があります。
- 会社名の前後どちらかに「株式会社」という文字は必ず入れる
- 記号やアルファベット、数字は使えるが、ギリシャ文字やハングル文字などは使えない
- 会社の一部門を表す「事業所や支店、支社」といった単語は使えない
- 昔から事業を展開している有名企業の名前は当然使えない
- 「銀行」や「信用金庫」など、法律で使用が禁止されている単語も使えない
以上、5つのルールに違反していなければ、自由に会社名は決められます。
ただし、自由といっても「覚えやすい会社名」なのは勿論、呼びやすさやインパクトがあるかといったことも考慮はして命名するようにしたいですね。
本店の所在地を決める
会社名が決まったら、次に重要なのが本店所在地の決定です。
本店所在地とは単純に本社の住所のこと。これは、後々の手続きが必ず必要になります。
そこで、本店所在地となる住所や物件を決める際、主に2つのパターンがあり、
◆自宅を本店にする場合
持ち家なら問題ないですが、賃貸住宅の自宅を本店にするときは賃貸借契約上の違反行為にならないか確認が必要
◆新たにテナントを借りる場合
契約を結ぶときは必ず「会社設立の目的で借りたい」旨を伝えて承諾を得なければなりません。
仮に承諾を得ていなければ、後々目的外使用とされて賃貸契約を解除される可能性もあります。
と、賃貸物件を本店所在地にする場合は、必ず大家さんまたは不動産会社の承諾を得る必要があります。
事業目的を決める
開業して会社を設立するとき、会社の基本原則を書き記した「定款」の作成は基本です。
その定款に会社の「事業目的」を書く項目があり、基本的に定款に書いている事業目的にない事業は行えません。
そのため、会社を設立して当面行う事業だけでなく、将来的に行う可能性のある事業も考慮して決める必要があります。
資本金額を決める
現在の会社法では資本金は「1円」でも会社設立はできるようになっていますが、現実的に信用問題などを考えると、ある程度の資本金は必要になってきますよね。
そこで、開業する業者によってかなり異なりますが、一般的に300~1,000万円程度が妥当な金額です。
ただし、注意点として通常設立初年度は資本金の消費税は免除されますが、資本金1,000万円を超えると免除が無くなり、初年度から消費税が課税されます。
会社の印鑑を作る
会社の設立にあたって印鑑が必要になり、一般的に以下4の種類の印鑑は用意する必要があります。
◆実印
会社の代表印を届けるときや登記申請にも代表者の実印が必要になります。
印鑑の形状に決まりはないものの、一般的には直径18mmの丸印が使われます。
◆代表者印
登記申請や税務署などの役所への届出で必要になります。
最も使用頻度が高い印鑑なので、しっかりした物を作っておくことをおすすめします。
◆銀行印
会社の銀行口座を開設するときに使用し、代表者印よりも少しサイズの小さいものを用意します。
◆ゴム印
ゴム印は作っておくと非常に便利。各種契約書の署名欄やなどに自筆でサインする代わりに使えます。
基本的に、会社名、代表者役職、代表者名、住所、電話番号およびFAX番号を入れて作ります。
以上、法人として開業するためには、最低でもこれらの準備はしておく必要があります。
2、法人で開業するときの手続きの流れ
開業準備が整ったら、実際に法人として開業するまでの流れをご説明いたします。
手続き手順➀ 定款の作成
定款とは、会社の基本事項を定めたもので、準備段階で決めた事項などが記載していきます。
現在では、Web上にテンプレートが無料でダウンロードできるサイトがあり、さらに書き方のレクチャーまで掲載されているので、ダウンロードして必要事項をしっかり確認しながら記載していきましょう。
定款の作成が終わったら、3部コピーして発起人(出資者)となる方の印鑑で押印・割印をしたあと製本しておきます。
手続き手順➁ 定款認証
定款は、公証人の認証が必要になります。
公証人とは、会社の本店所在地を管轄する法務局又は地方法務局所属の公証役場の担当者。公証人の「認証」という手続きを経て定款の作成は完了です。
この「認証」とは、作成した定款の成立・記載が正当な手続きでなされたことを証明してもらうこと。このときに、製本した定款3部と、発起人(出資者)の印鑑登録証明書が必要になります。
手続き手順➂ 資本金(出資金)の支払い
発起人の代表者の方の銀行預金口座にそれぞれの株主の名前で資本金を振り込みます。
その振り込みの控えが資本金の支払い証明書になるので大切に保管しておきます
手続き手順➃ 登記申請書類を作成し法務局へ提出
会社設立登記申請書を作成し、本店所在地を管轄する法務局(支局または出張所)へ申請します。
その後、必要となる登記簿や印鑑証明書、印鑑カードができるのは提出してから1週間~2週間程度の期間がかかります。
手続き手順➄ 登記完了後に必要な手続き
登記手続きが完了したら終わりではなく、以下の4ヶ所へ届出をする必要があります。
詳細はそれぞれ担当の省庁や自治体で確認が必要です。
- 税務署
- 地方自治体の役所
- ハローワークおよび労働基準監督署
- 年金事務所
税金や保険、社会保険などの手続きで届出が必要になるので、会社を設立後は出来るだけ早い段階で手続きは済ませましょう。
以上、駆け足で説明しましたが、法人として開業するときは基本的にこの流れで進めていきます。
3、まとめ1
法人として開業するとき、ご紹介した通り様々な準備のための手続きが必要になります。
そのため、開業といっても1週間程度の期間ではすべての手続きを済ませるのは困難。
一般的に3ヶ月~半年程度の時間を欠けてトラブルのないように進めていく必要があります。
特に登記申請に関わる準備と申請書類の作成は、丁寧かつ正確に進めていく必要があるので、同業者の方が知り合いに居れば相談しながら手続きを進めていくことをおすすめします。